農薬安全コンサルタントの養成「植物防疫研修会」
植物防疫研修会の歴史
全国農薬協同組合(全農薬)が昭和40年(1965年)10月設立。また、昭和48年7月には、企画委員会の「全農薬の組織、運営に関する提案」の中で、「全国農薬安全協会の設立」と「全農薬防除指導員(仮称)養成認定要綱(案)」が提案され、組合員子弟、従業員及び関係者の教育とその技術の効果的利用を考え、ここに“農薬安全コンサルタント”の養成が提案された。一方、系統組織である全農は、すでに昭和42年度から「防除指導員」の養成に着手し、昭和48年には修了者が5,000名を超えるところとなっていた。これに対抗したかたちで全農薬では昭和45年より組合員社員研修会(5~6日間)を毎年実施していたが、昭和49年(1974年)10月から社団法人 日本植物防疫協会(日植防)に依頼し、組合員の従業員を対象に、植物防疫についての正しい知識と農薬安全使用等について、行政機関、試験研究機関、大学、関係団体の専門家を講師に招き、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、植物防疫研修会を合宿制により年2回(10~12日間)開催する事とした(当時の日植防理事長 (故)堀先生が全面協力、遠藤常務、齋藤部長のご指導による)。
毎回50~80名が参加し、平成20年(2008年)10月には「国立オリンピック記念青少年総合センター」では最後となる、第69回研修会を終了した。なお、この間、第18回(昭和58年1月)から「農薬工業会」会員会社も加わり、その修了者は平成25年11月現在、全農薬組合員で3,300名以上、工業会会員を加えると5,000名を突破している。
平成21年の「第70回植物防疫研修会」からは日植防の諸事情により、研修会場を「国立オリンピック記念青少年総合センター」から、(社)日本植物防疫協会牛久研究所に移し、4泊5日で60名程度の規模で実施。その後、平成23年第74回からは、一般社団法人日本植物防疫協会本部(東京都北区中里)会議室で開催している。なお、研修受講者の範囲を全農薬、農薬工業会会員に限らず、広く一般からも受講可能にした。
また、全農薬では本研修会を修了し、試験に合格した者に対して、「農薬安全コンサルタント」の認定を行い理事長の認定証書を交付している。更に、平成9年度(1996年)より研修を修了し、試験に合格した者全員に、「緑の安全管理士(農耕地分野)」を公益社団法人緑の安全推進協会から交付している。
農薬安全コンサルタントリーダーへの進化
第1回農薬安全コンサルタントリーダー研修会が、平成25年9月4日(水)から6日(金)まで3日間の日程で、全国農薬協同組合(全農薬)ビル、9階会議室において開催されました。農薬安全コンサルタントリーダー研修とは、簡単に言うと、植物防疫研修会を受講し試験に合格し、全国農薬協同組合の理事長が認定した資格、「農薬安全コンサルタント」のレべルアップ研修です。
研修は、農薬安全コンサルタン卜の技術向上と商系組織の技術販売体制の強化、並びに全農薬の組合活動の活性化を図るために新たな農薬安全コンサルタントリーダー制度を設け、これを養成する目的で開催されました。第1回目の参加者は定員30名で全国各地から研修生が参集しました。
全農薬が、「農薬安全コンサルタントリーダー研修会」を始めるきっかけは、「これから我が国の農薬を取り巻く状況も、欧州のように厳しくなることが想定されるので病害虫・雑草診断技術を身につけ、少ない農薬でも効果的に病害虫・雑草に対し防除が出来るよう研修し、作物の病害虫・雑草防除の処方箋をお医者さんのように書ける専門家を育てなければいけない。そのために、現在の農薬安全コンサルタン卜のレベルアップ研修が必要だ」と青木理事長が平成24年9月に開催された全農薬理事会で提案した事に始まります。
理事会もこの提案を満場一致で了解し、平成25年2月の全農薬地区会議から農薬安全コンサルタン卜を対象とした、「現場で役立つ技術研修」を実施し対応しております。
具体的には、地区会議では講義を2題用意し、地域で問題になっている病害虫・雑草防除問題等に焦点を当て、その解決に役立つ講義をしていただいています。今後もこのスタイルで継続することにしております。
今回の「農薬安全コンサルタン卜リーダー」の資格取得には、地区会議で行われる「現場に役立つ技術講義」受講と全農薬本部で開催される「農薬安全コンサルタントリーダー研修会」受講が必要です。「現場に役立つ技術研修」を受講すると2ポイン卜、「農薬安全コンサルタン卜リーダー研修会」を受講して試験に合格すると6ポイン卜獲得できます。「農薬安全コンサルタン卜リーダー」になるには、全部で10ポイン卜を獲得することが必須です。
平成26年(2014年)に15名のコンサルタントリーダーが誕生し、現在は約210名のメンバーが認定されています。コンサルタントリーダーは現地での農薬適正使用等の啓蒙活動に積極的に参画するとともに、平成29年度より農林水産省から委託を受けた、一般社団法人 全国植物検疫協会と協力、連携し、農産物輸出を計画している産地で病害虫防除の専門家として、 日本の農産物輸出、産地育成に貢献できるよう活動しています。
これからも「農薬安全コンサルタント、コンサルタントリーダー」の質を高めていき、日本の農業に貢献できるように、皆様のお力添えを宜しくお願いします。